核燃料サイクル

原子力検証委の「厳しい検証」に疑問符
(2011/06/13)
 青森県内に立地する原子力施設の安全性を検証する「県原子力安全対策検証委員会」が7、8日に施設の現地調査を行った。原子力に対する県民の不安解消につなげようと県が設置した専門家委員会だが、初日から事業者の安全対策に“お墨付き”を与える委員も。検証委の構成メンバーは「各分野の第一人者」(県)で、13人の全委員が一堂に会した会合も難しいとみられる。早くも「県独自の厳格な検証」を疑問視する声が上がっている。
 
 「基本的には問題がないと感じた」
 7日、六ケ所村の使用済み核燃料再処理工場を視察した後に行われた質疑。委員の1人が早速、事業者の安全対策に理解を示す姿勢を見せた。
 別の1人も「(事故につながる)すべてのストーリーが思い浮かばない中、大変よく(対応が)なされていて、感心して見せていただいた」と肯定的な意見を述べた。
 福島第1原発事故を受け、三村申吾知事が知事選の公約にも掲げた肝いりの機関。しかし、事業者とのやり取りは淡々としたもので、「厳しい検証」とは言い難い内容だった。
 そもそも、視察自体が2日間で、計5カ所を回る強行日程。「厳しい検証を掲げるからには、しっかりした現地調査が必要」(県関係者)として実施したものの、視察時間は限られ、事業者からでさえ「短時間で、どれくらい説明できるか…」と困惑の声が聞かれた。
 三村知事が委嘱状を交付した7日の初会合に出席した委員は、13人中9人。その後の視察の全日程に参加したのは7人にとどまった。
 検証委を担当する県原子力施設安全検証室は「委員の都合が付かなかった」と理由を説明。県幹部は「日程調整が難しく、今後も全員がそろうかどうかは分からない」と明かす。
 三村知事は検証委が結論を出す時期にこだわらない考えを示している。だが、知事選直後の慌ただしさの中、約半数の委員の出席が見込めないにもかかわらず、駆け足の日程で検証委が開かれたことで、逆に「スケジュールありき」の印象を強める結果になった。
 核燃サイクル阻止一万人訴訟原告団の浅石紘爾代表は、「初日から理解の声が出たのは、(安全対策に)予断と偏見がある証拠だ」と痛烈に批判。「今までのような拙速な結論は避け、じっくりと検証するべきだ」と徹底した議論を求めている。