核燃料サイクル

六ケ所・再処理工場で溶融炉の熱上げ開始
(2012/01/11)
 六ケ所村の使用済み核燃料再処理工場で2008年12月から中断しているガラス固化体(高レベル放射性廃棄物)の製造試験について、日本原燃は10日、固化体を製造する溶融炉の熱上げを開始したと発表した。約2週間かけて温度を千度以上に上げ、今月下旬にも3年ぶりの試験再開に踏み切る。国が核燃料サイクルの見直し議論を進める中での実施。結果次第では中止論が加速しかねない状況にあり、原燃にとっては背水の陣≠ナ臨む3度目の試験再開となる。
 ガラス固化体の製造試験は再処理工場の完成に向けた最終段階で、07年11月に開始。だが、技術的な課題を解決できないまま周辺でも多くのトラブルを起こし、中断を繰り返してきた。08年12月からの3度目の中断は、3年に及んでいる。
 11年3月には再開準備が整ったが、東日本大震災の影響で実施できずにいた。原燃の川井吉彦社長は昨年末に「地元理解など環境が整った」として、再開を表明していた。
 原燃にとってはようやくこぎ着けた試験再開だが、外部環境は厳しい。東京電力福島第1原発事故を受け、国は原子力政策と併せて核燃料サイクル政策についても白紙から見直しを進めている。コスト問題などと並び、中止派の論拠となっているのが「いつまでも再処理工場が完成しない」という点だ。
 川井社長は「国の議論と試験は別問題」との認識を示すが、試験が順調に進めば中止派の論拠が一つ消える形となり、反対に難航すれば中止論が勢いを増す可能性がある。県幹部は「リスクはある。だが原燃は今度こそ、技術的に再処理事業が可能だと証明してほしい」と注文を付ける。
 ただ、夏ごろにはサイクルの在り方について結論が出る予定。それを待ち、リスクを避ける選択肢はなかったのか―。原燃幹部はきっぱり答えた。「現場の士気にも響く。事業者として、準備が整ったのに再開しないわけにはいかない」(今井崇雄)



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